ああー、「風」は、純情。
つよい陽射しに
ぴっかぴっかの栗光る
なが〜い竹竿で枝を折る
ごっつい栗が、毬を割り
ぽこんと弾け顔を出す
"珍しいのお〜今年は、"
日傘をさしたご婦人二人
声かけられた、「主」さん
"暇やでのお〜。"
"いつもは川に落ちとるよ"
"川に恵んどるんかあ〜"
からかうように口々に‥
"そんなことないけどよ"
やはり、
男は純情なもんだ。
けらりと、笑う二人を
見送り、ふと振り返る
"あんた、いつも写真撮って
‥何かしてる人か〜!"
"はい、カメラが好きで‥、"
"それなら写真機の方がええやろう!"
むっ、むむっ〜、言葉なし
長靴で器用に毬を踏み
籠にころころ転がして
この「栗の木」はいつ頃?
「三十年は過つやろう〜」
よく見れば〜、
「桃と梅と蜜柑に柿に‥」
「柘榴にイチヂク、スダチまで」
"栗、一粒くださいも‥"
つぶやけず、
ああー!
やはり、「風」は、純情。
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