あっ、
風もつよかった
吹き上げるような雨に
傘を斜めにし僕は歩いた
この清楚な紫陽花は
雨も風も避けたように
茂る木立の足下で
ヒっソリ咲いていた
僕にとって
紫陽花と6月の雨は
なぜか青春の記憶を呼ぶ
狭い急な階段の書店
下りるとき登る君とすれ違った
あっ、小さな声をのみこみ
同時にふり返り目が合った
記憶に残る君は肩筋まで伸びた髪、
目にした君は短髪だったが
清々しくよく似合っていた
交わした言葉は少なく別れた
それから半年くらい過ち
君が結婚すると聞いた
青春は、
どこか無口で恥じらって
ほんのり涙して
いつ迄も涸れることなく
いつも一番輝いている
あっ、
六月はーJune Bride
「花嫁」は幸せになるという
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